ひさかたの

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ひだまりの絵本画家柿本幸造展~ほんわかかわいいのに細やかに作られた絵本のイラスト

8月18日に黒姫童話館で開催中の「ひだまりの絵本画家柿本幸造展」を見てきました。

柿本幸造さんというお名前はあまり耳馴染みがないと思います。

でも、ロングセラー絵本の『どうぞのいす』、国語の教科書に掲載の『くじらぐも』など、きっと絵を見たことがある人は多いはず。

『どうぞのいす』は自分が幼少期に読んでいて、心に残っていた本でした。子どもにも読ませたくて買って読み聞かせもしていました。柿本さんは絵の担当で、香山美子さんがお話を担当、このコンビで作っている絵本はほかにも何作かあるようです。子どもを連れて行った読み聞かせでほかの話を読んでもらったこともありました。

『くじらぐも』は、自分が読んだかどうかは覚えていないですが、うちの子の国語の教科書にも載っていたので、子どももも楽しめそうと思って黒姫童話館に足を運びました。

黒姫童話館はスキー場が見える山の上にあります。周りにはお花畑もあって素敵でした。

館内はほとんど撮影禁止でしたが、外や入口にはフォトスポットがありました。

展示室内には、どうぞのいす、どんくまさんシリーズ、そのほか学研の発行しているこどものくになどの絵本挿絵や広告イラスト時代の原画やメモが展示され、何冊かの絵本もその場で読めるようになっていました。

デフォルメされたかわいい動物のかたち、ぼかしのあたたかい色合い。どの絵もかわいらしく、そのまま家に飾っておきたい雰囲気でした。

解説が少なかったので画材も紙もなんだかはっきりしませんでしたが、アクリルガッシュかポスターカラーなのかな。
あのぼかした感じはいったい何で描いているのか…筆の跡も少しあるけど、布とかでポンポンしているのかなあ。
面で描く画風ですが、ラフではやはり鉛筆線で、色も事前に試し塗りして決めていったことがうかがえました。

原画のサイズは絵本より多分小さくて、もしかしてそのせいでぼやけてほんわりした感じになってる…?

文字情報の少ない中に年表があり、もともと別の仕事をしていたけれど絵本の挿絵を手掛けるようになったのはまあまあ年がいった30代後半とか40代のころ。絵本画家って、割と遅咲きの方が多いのかな、地道な下積みの時代を経れば何かやるに遅いことはないということを思いました。
戦争も経験者で、いわさきちひろとの交流もあったとか。

ほんわかして安心する作風は、そのお年のせいもあるのでしょうか。くじらぐもなどはかなり晩年に描かれたそうです。

柿本幸造さんの著作をたくさんは知らなかったので、どうぞのいすの動物たちが出てくる続きがあるとか、どんくまさんという28作も続いたシリーズがあるとか、初めて知ることも多かったです。

オレンジ系の絵のイメージがありましたが、水の絵もとってもきれいでした。また、広告の絵をやっていただけあって、乗り物の絵もすごくお上手。はっとするような構図のうまさ、色の選び方、丁寧でいい具合のテクスチャー、と技術も確か。こんな絵が描けるようになりたいものです。

子どもとこういった美術館などを見に行くときには、最後に一番好きな作品はどれだった?と子どもに聞くようにしています。ただ見るのではなく、どういうのが好きだろう?とより考えながら、もう一度会場をぐるっと見直して、自分の気持ちも確認しながら鑑賞できることを期待して。今回は展示室もそれほど大きくなかったので、

気に入った絵の掲載された絵本はミュージアムショップで買えるものは買いました。そこになかったものはほかにも揃えようと思います。自分でもじっくり読んで、好きなエッセンスを取り入れたいです。