ひさかたの

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「透明くれよん」を買ったので紙とペンをいろいろ試してみました【追記あり】

画材レビュー

先日twitterから知った画材、透明くれよん。クレヨンなのに下絵の上から描いても線が透ける、透明な発色の美しい画材!
試してみたくなって早速買っていろいろな紙やペンで描き比べてみました。その他にも塗ってみて思ったことをお伝えします。
この記事が透明くれよんの購入を考えてる人の参考になれば幸いです。

【2018年10月追記あり】
10ヶ月ぶりにイラストを見返してみたらかなりの変化があったので追記しました。

透明くれよんとは

コクヨから出ている、透明くれよん。商品名は、「透明クレヨン」でなくて「透明くれよん」です。カタカナ表記のものは生産終了していて、ひらがな表記の現行品にリニューアルしたようです。

私が買ったのは16色セット。そこそこ充分な色が揃っています。

透明くれよん16色セット

オシャレでかわいいパッケージ。真ん中ロゴには金の箔押し。

ネット通販で買いましたが、雑貨屋さんでは5色セット、10色セットを見かけました。
画材店で見かけた記憶はないかも。

透明くれよん16色セット

いずれのセットにも「白」「黒」といった不透明な色は含まれていません。
ペンで下絵を描いた上に塗るのが前提らしきカラーバリエーションです。
(16色セットには灰色はあります。もちろん透明な。)
写真で見るより実物はどの色が何色なのか判断しづらいです。特に濃色。印字された色名を確認して手に取ることになると思います。

黄色は蛍光ペンみたいな黄色です。青系は透明水彩みたいな発色。どの色も塗ると鮮やかでうっとりする色です。

手にはつきにくいです。質感はクレヨンとかクーピーとか色付きリップクリームとか、そんな雰囲気。

紙の比較

同じような絵を別の紙に描いてみました。線画はコピックドローイングペン。簡易万年筆型のペンです。

画用紙荒目

下の絵はマルマンのスケッチブックの凹凸のある水彩用画用紙に描いています。
透明くれよん×画用紙荒目

▼部分拡大

【部分拡大】透明くれよん×デザイン用紙

紙の凹み部分は白く塗り残りができるのでざくざくとしたクレヨンらしさがよく出ます。

画用紙細目

次の絵はマルマンのスケッチブックのアート&デザイン用紙SOHOに描いています。ケント紙に近いような紙です。
透明くれよん×画用紙細目

▼部分拡大

【部分拡大】透明くれよん×コピー用紙

見た目にはすべすべの紙ですが、それなりに塗り残りは出てきます。これもクレヨンらしいですね。

コピー用紙

最後はコピー用紙。
透明くれよん×コピー用紙

▼部分拡大

【部分拡大】透明くれよん×画用紙荒目

すべすべですが画用紙に比べると表面を滑る感じ?マットに塗れます。ちょっとクレヨンのカスが多かったかな。

以上。どの紙にも滑らかに塗ることができました。紙の凹凸の大きさで描き味がかなり変わります。
塗った直後でないと混色があまりできません。少しカスが出るので指でこすってぼかしたりムラを定着させたりもしてみました。

透明くれよんが下絵のインクを溶かしたりにじませるようなことはありませんでした。

ただ、コピー用紙のような薄い紙は、クレヨンがべったり乗ると油が透けてきそうで、あまり長期の保存には適していないと思いました。
したがって、向いている紙は厚手の紙です。紙の凹凸具合は好みに合わせて。

下絵のペンの比較

今度は透明クレヨンの下に描く線画の画材を比較してみました。
紙は先程のスケッチブックのSOHO。

下絵の画材比較

鉛筆2B
鉛筆2B。わずかに鉛筆の粉が擦れてしまいます。でも思ったほどは濁りませんでした。濃く柔らかい鉛筆になるとあまり向かないかも。

透明くれよん×マッキー
油性のマッキー。問題なし。太い線もなかなか合います。

【追記】
透明くれよん×マッキー その後
10ヶ月経ったらマッキーの線がにじんでいました。油性同士溶かしてしまったのでしょうか。長期保存を考えるとあまり向かないですね。

透明くれよん×ボールペン
油性のボールペン。これも問題なし。線を重ねていくと雰囲気が出そう。

透明くれよん×ハイテック
水性のハイテック。茶色を使ってみました。色がついてても問題なし。

透明くれよん×ミリペン
水性のピグマミリペン。これも問題なし。

透明くれよん×色鉛筆
色鉛筆。鉛筆と違って擦れた感じは見られません。塗る色と近いと埋もれちゃいそう。

そういうわけで、鉛筆以外はどれも油性・水性関わらず、透明くれよんとの相性良好でした。透明くれよんとの相性良好なのは鉛筆と油性マーカー以外の線でした。他にも墨や印刷の線にも問題なく塗り重ねられそうです。

【追記】
油性のペンは時間が経つとにじむ可能性がありそうです。マッキーはにじみましたがボールペンはにじまなかったのはなんでだろう…。

色のついたペンも使えると、絵の幅が広がりますね。透明クレヨンの主張が強いので細く淡い線だと埋もれてしまいそうですが。

塗ってて思ったこと

デジタル化すると…

さて、ここまで透明くれよんで描いた絵を見てきましたが、これらはスキャナーで取り込んで、見た目の印象が近くなるように彩度を補正しています。
とても鮮やかな透明くれよんですが、ほとんどの色は取り込むとくすんでしまいます。iPhoneなどのカメラで撮ったほうが印象は近いのかな…。
これについては水彩絵などを描くときにも同じことが言えますね…。

透明くれよんはどんな場合に向いていそう?

透明くれよんを使えば私のつまらない絵も今どきっぽくステキになるのでは!?と思って何枚か描いてみましたが、こういう画材は逆にセンスが問われるような気がしました。パッケージがかわいくて、それ以上の絵が描けなさそう!なんてへこみますが、パッケージにいっぱいかわいいモチーフがあるので、真似て線画を描いてみてもいいかと思います。

それから、透明くれよんは太いので、昨今流行りの緻密な塗り絵を緻密に塗るのは難しいです。塗り絵用の線画をお持ちなら、線からはみ出しながら塗るのが楽しいです。だからまだ不器用なお子様にもおすすめ。

着色を大まかにする分、線の密度があったり強弱がある下絵のほうがより映えると思います。普段黒一色で絵を描いている人に、着色の苦手な人に、おおらかな気持ちで使ってみてほしいです。カラフルな楽しさが味わえるんじゃないかな。

【追記】

透明クレヨンは状態の悪いところで保存していると退色するようです。

お菓子の絵 その後
スキャンの設定や補正の兼ね合いもあるのですが、全体的に濃い目の色は薄くなっています。特に「こげちゃ」はオレンジがかった色に変わりました。

鳥の絵 その後
こちら細目の画用紙に描いたものは別物になってしましました。「ぐんじょう」が赤紫に、「あおみどり」は灰色になっているのが顕著です。

鳥の絵 その後
対してこちらは荒目の画用紙に描いたものです。下の方の「あおみどり」が灰色に、「きみどり」がレモン色になってしまいましたが、上の方はあまり退色しているようには見えません。

なぜ同じ日に描いたものがこんなに差ができたのか。
細目の画用紙のスケッチブックを平置きし、その下に荒目のスケッチブックを置いていたせいで、上にあった絵は日の光に当たりやすくなってここまでの差ができたんだと思われます。
退色した方も別にそのまま野ざらしに置いていたわけではなく、スケッチブックの表紙が覆っていたりラックの中段に入れてあったのに、数ヶ月でこんなに退色してしまいました。
これは壁に飾っていたりしたら結構なスピードで劣化してしまうかも…。
透明くれよんで描いたものを保存する際はしっかり光を遮った方がよさそうです。